★イワンダマリアことヤナギラン1(説明→2→3) |
旅行歌仙 2000・ろしあ 矢崎藍の連句わーるどへもどる→
旅行を賦し物とした歌仙です。旅行先を現地とする感覚で巻くのがいいと思っています。 下記は7月のロシア旅行中ですが、花の座に桜ではなく白樺と菩提樹をいれてみました。モスクワ発で、ヴォルガ運河ーヴォルガ河ースビル河ーオネガ湖ーーNEVA河を経て(ウグリチ、キジ島、ゴリツイなどに寄港)サンクペテルブルクに着くクルーズでした。美術鑑賞がテーマの12日間の旅で、プーシキン美術館、エルミタージュ美術館、また、教会のイコンの見学がびっしり。ようやく旅も中ばすぎのsvir河上で半日だけ時間がとれたので、キャビンで巻いたものです。夕食にチョウザメを食べながらテーブルの下田氏、奥津氏にも一句ずついただきました。おふたりにはロシア語を教えていただきながらの楽しい旅でした。スパシポ! |
歌仙「クレムリン」の巻 捌 藍
オ | 発 句 | クレムリンは要塞なりき大夕焼 | 藍 | 夏 | クレムリンは要塞という意味ですが、ここは最も 有名なモスクワのクレムリンです。15分おきに スパスケ塔(右)の鐘が響く赤の広場からモス クワ中心街を見下ろしたところ。革命以前の建 物の復興工事がめだちます。 |
脇 | 鐘の音を聞く7月の街 | 浩二 | 夏 | ||
第三 | 渋滞もペレストロイカ以来にて | 藍 | |||
4 | ピンクフリルのバスのカーテン | 浩二 | |||
月 5 | 出航の波止場に赤い月昇る | 藍 | 秋 | ||
6 | 異国の虫がリュウリュウと鳴く | 々 | 秋 | ||
ウ | 7 | マスカットつまめば香るノスタルジー | 浩 | 秋 | 船の朝食は西瓜、メロン、マスカット、干し杏など豊 富な果物とヨーグルトがおいしかった。 |
8 | 観光客はとりどりのシャツ | 々 | イワンダ・マリア2の ピンクの花が、野 原にも、修道院に も群生していました 花の名は日本語 だと「太郎と花子」 みたいなものだそ うです。 修道院 も村落にとっては 要塞の役目を果た していたそうで、ど れも堅固な造りです。 | ||
9 | 王妃ゆえ幽閉されし修道院 | 藍 | |||
10 | 塔を見上げて笛を吹く影 | 浩 | |||
11 | 風渡るイワン・ダ・マリヤと樅の木と | 々 | 夏 | ||
月12 | 白夜の月は低く南に | 藍 | 夏 | 夜中に目をさましたら岸の木々の梢のあたりを月が 流れていた。もちろん船が流れていたのだけれど。 水門はモスクワ運河などで16かしょ通過。 | |
13 | 水門が開き濁流渦巻いて | 浩 | |||
14 | 鉛筆デッサンだけのスケッチ | 藍 | 時速25キロでゆるゆるとゆくスルコフ号から見た岸 辺。でもめぎつねは日本にFAXを送るために通信室 通い。スケッチにも色が付けられないよー!スパシポ はロシア語で「ありがとう」です。 | ||
15 | 髭のボス衛星通信オペレーター | 浩 | |||
16 | 1ドル札を置いてスパシポ | 藍 | |||
花17 | 白樺の花降る頃のヴォルガ川 | 浩 | 春 | ウルグチ島で農家を見学。牛と同居も暖房のためとか。 | |
ナ オ | 18 | 雪解けの島牛がのっそり | 藍 | 春 | |
19 | 暖かな窓辺に帯を織り上げて | 浩 | 春 | ||
20 | 胸かき乱す恋というもの | 藍 | |||
21 | カレリヤのワルツに君の瞳が燃える | 浩 | |||
22 | グラスなみなみ注ぐウオッカ | 藍 | スルコフ号の甲板 でのキャプテンズ カクテル。ウオッカ じゃなく、シャンペ ンでした! | ||
23 | 2メートルペトロ大帝履く長靴(ちょうか) | 浩 | クレムリンの武器庫は歴代王 朝が集積したまばゆい宝物庫 下田氏の句の至言なるかな。 写真はイースターエッグ。 | ||
24 | 宝物こそは権力の武器 | 下田尚 | |||
25 | 金縁のイコンを巡る血の惨事 | 藍 | イコンはロシア正教が祈祷の対象にする聖像画。教 会に彫像はなく祭壇を中心に壁はイコンーーキリスト 、聖母、聖人,大天使、聖なる物語絵で埋まっている。 写真は聖ドミトリウス教会でのコーラス。 | ||
26 | 破れし扉風の柔らか | 浩 | |||
27 | チョウザメを食いつ俳諧など語り | 藍 | |||
28 | それは連歌かさては煉瓦か | 奥津茂 | |||
月 29 | 焼石のサウナから見る冬の月 | 浩 | 冬 | ||
ナ ウ | 30 | KGBが追いかけてくる | 藍 | 現地ガイドのエ リーナさんと旅の 添乗員、頼りにな るかっこいいボス の竹森氏。 | |
31 | 鳥打帽タバコをふっともみ消して | 浩 | |||
32 | 扁桃腺は治りましたか | 藍 | |||
33 | 屋根裏で誰かカンテリ弾いている | 浩 | キジ島の木造聖堂 と、オネガ湖を見下 ろす墓地。 ロシア聖教の十字 架は、十字ではなく 八隅(はちぐう)のク ルスといいます。 カンテリは爪ではじ く弦楽器です。 | ||
34 | 丘のクルスに眠る村人 | 藍 | |||
花35 | 生も死もきょう菩提樹の花のかげ | 々 | 夏 | リンデンバウムです。 この旅は白樺と菩提 樹の緑が美しい旅で した。菩提樹はちょう ど白い花を咲かせて いました。イコンも菩 提樹で造るようです。 | |
挙句 | チェリームースにチャイのお代わり | 浩 | 夏 |
ロシアから帰って蝉時雨の中にいる。この暑さには西瓜がおいしい。ロシアでも道路で西瓜がごろごろ積んで売られ、朝食にも必ず出てきてちょっと意外だった。 なぜロシア行きかって? 私の学生時代は60年安保まっただ中。歌声喫茶でロシア民謡を歌いまくっていた世代である。 しかし世紀末、ついにベルリンの壁が崩れイデオロギーの時代が終焉を告げる。そこでまた印象的だったのが、旧ソ連のレーニンなどの銅像が倒され破壊されるテレビ映像だった。日本では(近代には西欧の真似で銅像を建てたが)江戸時代までは大仏様やお地蔵様はあっても、偉人を大きな像にして仰ぎ見たりしない。人間の像を建てることも、また倒すことも実に生臭く、西欧的だと思った。 今度の旅も人間の銅像が気になっている。ただし案内されたのはプーシキンやドストエフスキーなど文学者の像が多かった。レーニン像は撤去されたものもあるが、土地によってはそのまま残っている。ガイドのエレーナさんに聞くと「60代以上ではまだレーニンを尊敬してる人も多い」という。「エレーナさんは?」と聞くと「私はあまりーー」と笑った。この国を長く知る人によればロシア人はペレストロイカ以後、外国人にとてもにこやかな表情になったそうだ。 かっての首都サンクトペテルブルクにも国家を北方や西方との戦争から守った偉大な功労者たちの銅像が立っている。エカテリーナ女帝も堂々と広場を見下ろしていた。 レニングラードという都市名は廃止になったけれど、レーニン像もバスの窓から見た。「あれはタクシーをとめるレーニンね」とジョークつきの説明。ロシアではタクシーを止めるとき、手をあげないで斜め下にのばすのだ。 その日タクシーに乗るので、添乗員氏にこれをやってもらった。大通りの雑踏の中で、彼の手ののばし方は本当に朝見たレーニン像のとおりだった。 大柄の運転手さんはロシア的英語で、私たちの日本的片言英語と(たぶん誤解だらけで)大声で話しながら、時速80キロでとばし、別れにはにこにこと手を振る。 降りたのはネバ河のほとりで午後八時.。しかしペテルブルクはまだ日差しがまぶしい。十時ころにようやく街の夕焼けの色が濃くなり、スケッチする私は色鉛筆をだんだん赤く塗りこめていった。旅の最後の夕べである。 |
★イワンダマリアの花についてBBS、メールなどでのおたより、写真をいただきました。
小晴 2000,9月2日15:33総合BBS
「歌仙「クレムリン」の巻で初めてお目にかかった イワンダ・マリア。 あこがれていたらスイスの高原で似た花に出会いました。メールが重くなって恐縮ですが 御覧いただけたら幸いです。迂闊にもイワンダマリアのスイス名は訊きそびれました。巡り会えた喜びばかり大きくて。
旅先で買った「アルプスの花」という本には<幅狭の葉を持つ柳の球>などという不粋な名。あるいは<エピロビウム・アングスティフォリウム>。科はアカバナ科マツヨイグサ属オナグラケアエ、と出ていましたが 確かにイワンダマリアかどうかも自信がありません。)
★たつみ 2000.10.10(火)総合BBS
「旅行歌仙2000.ろしあ」11のイワンダ・マリヤはヤナギランだと思われます。ヤナギランは高山植物で7〜8月に紅色4弁の花を開きます 下部から上部に咲き上がります 秋になると7〜8センチのさく果(ささげを小さく細くしたような形)が裂けて綿毛を持った種子が飛びます 本州中部以北〜北海道ならびに北半球の温帯および亜寒帯に分布すると言われます 78年の秋私は上信(群馬と長野)国境の烏帽子岳に登りました その途中の湯の丸高原でヤナギランの群落に出会いました ふと気がつくと、目の前を白い綿毛が舞っています よく見ると吹くともない風にのってヤナギランのれっ果から次から次と綿毛が舞い上がってゆきます あの群落から舞い上がる綿毛が秋の陽に時々キラキラ光りながら青空の中に消えていった光景は今でも心に残っています 私がヤナギランの綿毛に出会った最初でした 長野近辺の高原(志賀高原・妙高高原etc)で見ることが出来ます
★未悠
2001年 8月05日(日)02時11分00秒総合BBS
湯の丸高原にヤナギランを見に小晴さんと行ってきました。池の平湿原というところをぐるりと歩いて高山植物の群落を堪能してきました。ちょうどベストシーズンでした。ヤナギランだけでなく、クガイ草、松虫草も、朝鮮人参のブルー、野あざみの色も鮮やかでした。たつみさん、いい所を教えて下さって有難うございました。
★小晴2001年8月5日 15:35メール&左右の写真2枚(標高2000メートル、湯の丸高原)
暑中お見舞い申し上げます めぎつねさま お健やかにお過ごしのことと存じます。ロシアのイワンダマリアに始まったヤナギランの旅、たつみさんの「連句わーるど」へのお知らせのおかげで、瓢箪から駒の如く現実のものとなりました。未悠さんと二人のんびりと信州の風、山の花々を堪能、命の洗濯をして参りました。早々とバッテリーが切れて、僅かな枚数からの拙いヤナギランをご笑覧ください。