猫歌仙「万国の」の巻
自他共に許す全国猫連句人の猫賦物(ふしもの)文音歌仙です。巻きあがった作品をのせてありますが写真と説明の手紙などを、ぽつぽつ補充してゆきますので、写真のある句(猫)から、少しずつご鑑賞たまわりますよう。
連衆(付け順) 佛淵健吾・矢崎藍・宮下太郎・近松寿子・八木聖子・別所真紀
◆まずはタマサブロー君の変身と、-28,29の傑作付け合いで笑って!


猫賦物 歌仙 「万国の」    文音 つけ回し (発句に猫の字あり。脇以降「猫」の字を使わぬ猫尽くしで

万国の猫族集結せよ梅雨明ける
佛淵健悟
晩夏 万国の猫
撮影は登坂かりん氏品
川プリンスホテルだそう
です。配置に猫の格の
ようなものが表れており
、うーむ、猫の世界もそ
うなのかとかおもしろい
です。(健悟)
 油蝉狩る三毛の跳躍     
矢崎藍
三夏 ジャジャ女親分
「野性的で気性激しく絶対
の愛を要求。ほかの猫に
ふりむくと、怒りの声をあげ
て抗議。私しゃおどおどあや
まるばかり」(藍)
卓上のノミタマそっとつぶしいて    
宮下太郎
   
キャットフードも謳う効能
近松寿子
  お涼み中の近松ミュー
「妹と2匹でおばちゃん
の玄関に捨てられ、9
匹の内猫の仲間入り。
池の金魚とも仲良くしよ
うとして、ネットを張られ
ましたが、丁度ハンモッ
ク。今年の猛暑も快適
でしたニャー」(寿子)
にゃおにゃおと会議今宵も月の庭 
八木聖子
三秋  
またたびの実を家づとにして 
別所真紀
三秋 ご幼少のタマサブロー
「我輩はタマサブローである。
この愁いを含んだ美貌を見よ
命名はあのお方の名をいた
だいてわが愛人が付けたの
であるが、八年たった現在
7,5キロ。あのお方にもうしわ
けないと愛人は言う。そうか
なあ。美貌は衰えていないつ
もりだが」(真紀)→cf。24番
耳裂けの鯖に敗れしそぞろ寒     
 
晩秋
 
血統書には多情多感と       
   
たくましき野良の大将慕わしく       
寿
   
10 車の下が逢引の場所       
   
11 悠然とケンブリッジの哲学者                 
   
12 グルーミングをひがないちにち             
 
「三日まえマムシにか
まれあやうく死ぬとこ
ろでした。お医者さん
が手術してくれてやっ
と助かったの」(聖子)
13 太棹を叩けば冬の月のぞく               
三冬   
14 障子の影の怪奇御女中                 
三冬   
15 真っ黒のほちゃほちゃ豆の柔かさ             
  肉球ともいいます。(by 鯖)
16 禾本科の草食べてうららか               
寿
三春  
17 散る花を追うアメリカン・ショートヘア          
晩春  
18  かげろうの中しっぽくねくね             
三春  
19 御簾ひけば衛門督の胸痛し                
  「衛門督(えもんのかみ)は源氏
物語に出てくる柏木です。
唐猫が紐をひいたため御簾の
中の三の宮に恋をして、破滅し
ます。(後藤嘉寿美画伯は、こ
の唐猫を白猫と解釈。黒猫の可
能性も高いと思います」(藍)
20 干支にはおらぬものを欲しがり            
 悟
   
21 神託を曲げた鼠だやっつけろ              
 寿
 
   
22 ご主人様は髭を撫ぜてる               
   
23 次期ボスは隣のチビかゴエモンか             
  by鯖
24 長靴雪踏むカラバス侯爵                
晩冬 8年後のタマサブロー
「いよいよ7,5キロの登場。
籠は先回のときのと同じもの
です。
写真が嫌いでムクレテイル、
タマサブロー」
(真紀)


25 手の甲の引っ掻き傷の訳言わず             
   
26 背なに食いつく愛ぞ激しき               
   
27 捨て箱に母を恋う子が四匹も               
   
28 救い給えよにゃむ観世音               
寿
   
29 知らぬ間に玉をとられし夕の月              
三秋
宮下ゴン。Alas!
30 客招きいる秋風の店                   
三秋  
31 まんじゅしゃげひとをざらりとなめて生き        
仲秋  
32 時にやさしく噛んでくれたり               
   
33 カーテンでターザンごっこ出来る家             
   
34 針の眼となる啓蟄の昼                  

初春  
35 酒なくてなんの喉は花へ鳴る                
寿
晩春  
36 十才牡にうるむ春星                  
三春  

 平成六年八月一日起首   平成七年一月三十日満尾
これからも傑作写真が登場しますので、ときどきのぞいてね!


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