学生連句国語表現T1998連句14         矢崎藍の連句わーるどへもどる→
                   GAKUSEI おしゃべりコーナー
愛知県の桜花学園大学と豊田短期大学では、参州めぎつねがT・Sキョージュに化けて「国語表現」の講義をしている。当然講義内容は、ふっふっふっーーー付け句と連句の実作である。               

                  

 連句(付け句)は友達どうしで言葉を工夫しあい、協力するので、言葉の表現を磨くとてもよい手段です。自分たちの今の生活、今の思いそのままを、自分たちの今の言葉で表現しよう。おもしろい自分、すてきな自分を見つけよう。自分の思いをぴったり表現できる言葉をさがそう!季語もとりこみボキャブラリーを広げよう!

98年度「国語表現T」の講義は大学、短大とも受講生が多くて、連句だけでも58巻、付け句は数えるのもお手上げです。ぴちぴちばんばん盛り上がったその作品群の中から、ほんの少しだけご紹介します。


付け句編 中日新聞の付け句コラムを参考に付けてみます。はじめてなんだからへたでいいよ!(あたりまえでしょ)ペンネームOK。でも15分で集めちゃうよ!hahaha!追いつめられればなんか出てくるもんなの。私だってしめきりでいつも苦しんでいるんじゃ。苦しめ!
(1)575句に77句を付ける練習
 
   (花の午後けだるさ破る電話ベル )
      らーめんギョウザ早くお願い!      優子
      みんないっせいけいたいさがし      さやか
      ハサミでコード切っちゃダメかな?    顕子
      せんせい今日は〆切ですよ         聖きよみ
      聞こえてきたのは南無阿弥陀仏      はんるい
      ハイテクハート彼まで直行         正子
      さてはあいつも反省したか         繭子
      いえいえ塾にははいりません       千絵
      あなたの声が私の支え           峰歩
      まだ家なのとため息の彼         志帆里
      降り出した雨土に心に           山田k郎
                    (2)77句に575句を付ける練習
    (ぐつぐつ煮える鍋の白菜
      蟹食べてアクをとりつつ更に      はるちあん
      雪色のマフラーあとで渡します       咲子
      この後はこたつでアイスお約束      礼
      息白し三つ星瞬くオリオン座       清美
      お母さん今年のは帰るから       裕子
      年賀状今年は何枚くるのかな      円
      どうやって別れ話を切り出そう      けん
                          
 

ね、15分苦しんだかいはあったと思うでしょ。(ここに全句掲載できないのが残念です)
 以後、連歌俳諧の講義はほんの少し(今日は作らせてくれないのーーという不満の視線がつきささる!)いろいろな前句、また上記の(2)のように季語も使ってみたり、尻取り遊びも登場。付け句は全部印刷して毎時間配ります(なんちゅう手のかかる授業じゃ)でもそのうち恥ずかしいという気持が飛んで行くようです。自分がより思いどおりに作る努力はもちろんいいことですが、
実は友達の句を読んで「へええええ」と驚いたり、感心したりする経験こそとても大事なんです。(文学を支えるのは作者と読者!)ほかのひとのおもしろさ、ほかのひとのすてきさもみつけよう!ね、これぞ連句なのじゃぞ。。


2 連句編ー2か月後にはいよいよ本番。3人から4,5人で1座になって「おしゃべり連句14」を完成させます。今回は発句、脇、第三までを共通にして、各座は4句目からスタート! 付け句を相談しあいわいわいがやがや、推敲もふくめ3時間つまり3週かかって仕上げました。、前期、後期あわせて52巻の作品から3巻を。(捌きは進行責任者。青色は季語

 
 「本気の恋」の巻(浪漫座)
 「暴走半島」の巻(正義の鉄拳座)
 「だっちゅーの」の巻(味噌野座)

おしゃべり連句14  「本気の恋」の巻  浪漫座    捌き 染井吉乃

 発句 575 十九歳は流れる散歩道  詩子
  脇  77  星を眺めて歩く 真由子
 第三 575 知り合ってこれからふたりどうなるの    智子  
   4  77  本気の恋も成り行きまかせ        オミ  
   5 575 短夜に一方通行急ぎ足          昭子
   6  77  海に背を向けふりかえらずに           吉乃  
月の座  575 月あかりふたりを結ぶ琥珀色   オミ
   8  77   つないだ手には淡い幸せ    昭子  
   9 575  すれちがうダッフルコート駆けていく           卓
  10  77   寒々(カンカン)響く私鉄のホーム           々
  11 575  自販機にもたれて君を思い出す            昭子  
  12  77   何をしている何を見ている               卓  
花の座 575 の香に姿を描きただ想う         昭子
 挙句  77  オレンジ色の風に抱かれて             卓

                1998年6月2日起首 23日満尾    於 320教室

おしゃべり連句14 「暴走半島」の巻  正義の鉄拳座 捌き 川島士穂賀

 発句 575 十九歳春は流れる散歩道 詩子
  脇  77  星を眺めて歩く朧夜 真由子
 第三 575 知り合ってこれからふたりどうなるの   智子  
   4  77  結婚詐欺師と婦人警官       桐立  
   5 575 白昼のスピード違反で捕まって         田中スーザンふ美子  
   6  77  キップのよさが骨身にしみる          藤山起目粒 秋 
月の座  575 おてんばもに願うは恋の夢 わかめ
   8  77  うさぎいそがし十六の春   桐立
   9 575 帽子屋のお茶会忘れかき氷         巽屋
  10  77  ブルーハワイと宇治の山景         はずかしタイフーン
  11 575 身もよだつ吹きおろす風白い吐息(いき)    桐立
  12  77  読経に揺れる阿弥陀堂の灯(ひ)         藤山起目粒  
花の座 575 花吹雪バックにみんなハイチーズ        ムンクの叫び
 挙句  77  追いこす暴走半島           すごいよマサルさん

                    1998年6月2日起首 23日満尾    於 320教室

おしゃべり連句14  「だっちゅーの」の巻  味噌野座  捌き 礼美

 発句 575 十九歳春は流れる散歩道  詩子
  脇  77  星を眺めて歩く朧夜 真由子
 第三 575 知り合ってこれからふたりどうなるの    智子  
   4  77  いつのまにやらファン二千人       小夜子  
   5 575 おじさんもすててこはいて「だっちゅーの」     若菜
   6  77  今年はきっと大ブレイクだ          礼実  
月の座  575 月明かり海辺で一人加トちゃんぺ 美穂子
   8  77  いなごはやがて食道に消え   小夜子
   9 575 ヒッチハイクゴールできたらCDデビュー      若菜  
  10  77  クリスマスだが「ダディー」は孤独         礼美
  11 575 コンサート「ジャパン」の人気絶好調 美穂子  
  12  77  ジャマイカ戦は一点いれて!         小夜子  
花の座 575 ワイワイと仲間で騒げ花の宴        若菜
 挙句  77  シャボン玉よりはかなく消える           美穂子

                  1998年6月2日起首 23日満尾    於 320教室