2001年平成連句競詠でのインターネット連句賞受賞について。
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平成連句競詠会に、今年インターネット連句賞が発足するというので、連句KUSARIを出してみました。インターネット世界を本拠とするKUSARIの形式が理解されるかどうかわかりませんが、客観的な批評も時に受けてもいいと思いました。しめきりまぎわに思いついて進行中切り取り100句という異例な応募のしかたでした。このKUSARIのひとつひとつをつなげてくださっている全員への賞と思います。KUSARIの皆さん、おめでとう!(藍)
(お知らせ)平成連句競詠会・2001連句文芸賞実行委員会より
2001インターネット連句文芸賞 ●連句KUSARI「2001.8.10〜8.16の百句」矢崎藍の連句わーるど総合BBS
(世話役・狐スタッフ/ミャーママ・麦・蕗・雨乞小町・目吉・杏・めぎつね)
●2001インターネット連句文芸賞 (表彰と副賞の時計)ー
ー授賞講評ーー入選作品集より 芸賞実行委員会(文責 二上貴夫)
応募の14巻はいずれも意欲的な作品ではありましたが、ホームページ「矢崎藍の連句わーるど」で行なわれている掲示板を使った「連句KUSARI」がその中でも群を抜いていました。一言で言えば、インターネットというメディアを100%活かした連句ということになるのですが、箇条書きにその評価点を挙げてみますと、
1、 ネット管理者が存在しつづける限り、エンドレスにつづく点。これはBBSを活かした、新しい連句形式の創造になるでしょう。すでに一万句を越えて進行中の付け句の中から、2001.8.10~8.16の百句が切り取られ、インターネット連句文芸賞への応募とされたのですが、その「途中性」が百句形式になったのが面白く、評価しました。
2、 不特定多数の人々が付けている点。まさに連句文芸の社交的性格を、連句人も俳人も超初心者も分け隔て無く、俳号やハンドルネームでの付合が、ネットならではの「座」を構成していると感じ、評価しました。
3、 日々の思いや、現代の世相がリアルタイムに映し出されている点。連句はモノローグではないのです。モノローグな詩なら、現代詩や俳句や一行詩の分野に席を譲るでしょう。連句は世界に類例のない日本民族が創った固有なダイアローグな詩、対話詩による文芸と言ってもよいでしょう。
「連句KUSARI」はインターネットの匿名性の海に漂いながら対話の詩を実現しています。例えば、
風はらみヤスクニ詣で乱か治か/足踏んだ奴決してわすれず、とか、どら息子帰省の間も家に居ず/知
らないでいる愛の確かさ、なんて庶民の詩で、その点を評価しました。
そういう訳でインターネット連句文芸賞の第一回を飾るにふさわしい作品であったと思います。
来年も「2002連句文芸賞」と共に、このインターネット連句文芸賞をネットで公募しますが、柳の下にもうドジョウはいないでしょう。BBSによる連句とは異なる切れ味を読者と一緒に見たいものです。(後略)
●発表会並びに記念の連句会ーー麦さんが表彰状いただきに行きました。桂さん、小晴さん、ひまわりさんも応援に。(12月2日(日曜日)午前10時半受付〜午後3時終了。 所・京都・八坂神社「常磐新殿」電話075(525)8080京都市東山区祇園町北側625※表彰状の授与と選者講評、記念の連句会参加費2000円(昼食代含)
※『2001連句文芸賞入選作品集』、希望の方は冊数と送り先をメールでご連絡ください(頒価1冊500円・送料込、12/2以降に、郵便振替用紙と共にお送りします
dome@ignoramus.
受賞作品
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形式説明 ★1999年2月1日掲示板の会話の中からはじまり、2001年9月10日の0時現在12734句になっている1本の連句の鎖です。インターネットBBSで生まれた連句コミュニケーションのひとつの姿といっていいでしょう。ほぼ1年をかけて試行錯誤して現在の形に作り上げました。主な約束事項はつぎのとおりです。
1「付けと転じのメカニズム」を確保して、過去から未来へとひたすら、五七五句と七七句を交互につないでゆきます。 刻々の連続する現実を、ともに生き、互いの一句をたいせつにする連句をしていきましょう。この地球上のどこかで暮らしている日々のことなど、話しながら、聞きながら付けていきましょう。
連衆は不特定です。24時間開放された鎖の中で付けたい句に付ける人が連衆です。★今回応募に当たって
1 本来読者にリアルタイムを共有して鑑賞するものですので、日付のはいった作品としました。(リアルタイムには時間が秒単位まで付されます)
2 この連句は、発句も挙げ句も意識しない連句です。100句の構成はありません。あくまでも連続する鎖の一部をたまたま100句きりとったものとお考えください。
連句KUSARIU(20018.10-8.16 100句) | |||
(12128 | 魔法使いの呪文解けずに | 小町) | |
8月10日(金) | 12129 | 風はらみヤスクニ詣で乱か治か | たつみ |
8月10日(金) | 12130 | 足踏んだやつ決して忘れず | わび太 |
8月10日(金) | 12131 | 十年もショバはっている駅広場 | はやお |
8月10日(金) | 12132 | ガマの油は今日も完売 | カンちゃん |
8月10日(金) | 12133 | 恋病いため息ばかりのお隣さん | 道草 |
8月10日(金) | 12134 | ロックグラスの氷みつめて | みのり |
8月10日(金) | 12135 | 犯人の指紋がきっとある筈で | 麦 |
8月10日(金) | 12136 | ここは落ち着けまずは一服 | たつみ |
8月10日(金) | 12137 | 夢じゃない当たっちまった1億円 | ミャーママ |
8月10日(金) | 12138 | 飽くこと知らぬ揚げ雲雀いて | 桂 |
8月10日(金) | 12139 | 菜の花のささやくような春の歌 | みのり |
8月11日(土) | 12140 | 廃線近い電車コトコト | ひわ |
8月11日(土) | 12141 | ひさしぶり帰ってきたよお父さん | 芳梅 |
8月11日(土) | 12142 | チャイナドレスをお土産にして | かずちゃん |
8月11日(土) | 12143 | とんと打てでんでん太鼓賑やかに | たつみ |
8月11日(土) | 12144 | 赤銅の胸光る水玉 | 柳雪 |
8月11日(土) | 12145 | 港町女盛りが身をよじり | 霞 |
8月11日(土) | 12146 | よそ見していて秋刀魚台無し | 道草 |
8月11日(土) | 12147 | これ雀焼き蛤に化けてこい | たつみ |
8月11日(土) | 12148 | 猟友会の髭の面々 | のら |
8月11日(土) | 12149 | 谷渡る風薄絹の朧月 | 小町 |
8月11日(土) | 12150 | 家路はるかに厨灯点る | 桂 |
8月11日(土) | 12151 | 母さんに会ったら涙こぼれそう | 蕗 |
8月11日(土) | 12152 | 思いがけない初戦敗退 | 芳梅 |
8月11日(土) | 12153 | Eメール国の内外飛び交いて | 桂 |
8月11日(土) | 12154 | ニアミス誘う過密フライト | ひわ |
8月11日(土) | 12155 | 境内で蹴鞠楽しむ白い髭 | つう |
8月11日(土) | 12156 | サンタ只今休暇中です | みのり |
8月12日(日) | 12157 | アラン島に咲いてませんかヤナギラン | 藍 |
8月12日(日) | 12158 | 物の名前のルーツ求めて | 芳梅 |
8月12日(日) | 12159 | 母が母恋うて呟く子守歌 | ひわ |
8月12日(日) | 12160 | 盆に姉やも帰る故郷 | のら |
8月12日(日) | 12161 | 遠花火涙のわけは聞けぬまま | カンちゃん |
8月12日(日) | 12162 | 赤信号で降りる遮断機 | 藍 |
8月12日(日) | 12163 | リストラか私鉄沿線無人駅 | かずちゃん |
8月12日(日) | 12164 | 日傘たたんで立ち話する | 藍 |
8月12日(日) | 12165 | お互いに暑さ嘆いて右左 | たつみ |
8月12日(日) | 12166 | 止まる事なき扇風機の首 | 蕗 |
8月12日(日) | 12167 | 町医者の待合室は畳敷き | ミャーママ |
8月12日(日) | 12168 | 葱大根の並ぶ裏木戸 | 麦 |
8月12日(日) | 12169 | 穏やかな日和つづくと予報でて | 桂 |
8月12日(日) | 12170 | スケッチしてる海がきらきら | 藍 |
8月12日(日) | 12171 | あの方の御霊を包む珊瑚礁 | 柳雪 |
8月12日(日) | 12172 | 障子を閉めて香を楽しむ | つう |
8月13日(月) | 12173 | 寝不足のまぶたに浮かぶ百合の影 | みのり |
8月13日(月) | 12174 | バーグマン似の美しい人 | 晴 |
8月13日(月) | 12175 | 過去未来吹き渡りたる砂嵐 | 藍 |
8月13日(月) | 12176 | 火星はずっと眠り続けて | 小町 |
8月13日(月) | 12177 | どら息子帰省の間も家に居ず | つう |
8月13日(月) | 12178 | 知らないでいる愛の確かさ | ひわ |
8月13日(月) | 12179 | 山澄んで汲めど尽きない石清水 | 晴 |
8月13日(月) | 12180 | 木の間に透る大瑠璃の声 | 藍 |
8月13日(月) | 12181 | 気が知れぬ始祖は恐竜愛鳥家 | わび太 |
8月13日(月) | 12182 | ナショナリストの救世主面 | 白石 |
8月13日(月) | 12183 | お手並みを拝見したいよ改革の | 蕗 |
8月13日(月) | 12184 | 徐々に萎びる笊の苦瓜 | 麦 |
8月13日(月) | 12185 | どぶろくと暖簾の向こうにかかる月 | 小町 |
8月13日(月) | 12186 | 喰いつめ者に風が身に入む | たつみ |
8月13日(月) | 12187 | ビニールの袋にしまう守り札 | 麦 |
8月13日(月) | 12188 | 宗教活動じゃないんですこれ | 藍 |
8月13日(月) | 12189 | ボランティア観光ガイド作務衣着て | 桂 |
8月13日(月) | 12190 | バスに戻れば何を観たやら | たつみ |
8月13日(月) | 12191 | としですね耳鼻咽喉科若い女医 | かずちゃん |
8月13日(月) | 12192 | グッピー泳ぐバーチャル水槽 | 蕗 |
8月13日(月) | 12193 | 暗き部屋コンビニ袋さえ重く | 柳雪 |
8月13日(月) | 12194 | 兄に特攻誰が命じた | 道草 |
8月14日(火) | 12195 | わが社では職務分掌明文化 | タマ助 |
8月14日(火) | 12196 | 山のバーベキュー仕入担当 | かずちゃん |
8月14日(火) | 12197 | 新涼の淵は清らな水たたえ | 蕗 |
8月14日(火) | 12198 | 飛び立つごとく鷺草のゆれ | 晴 |
8月14日(火) | 12199 | 右顧左眄宰相選ぶ暗い道 | たつみ |
8月14日(火) | 12200 | まだ宵の口傍目八目 | 桂 |
8月14日(火) | 12201 | 碁会所に見慣れぬ顔の美青年 | ミャーママ |
8月14日(火) | 12202 | 異星交際親は許さず | 小町 |
8月14日(火) | 12203 | 極北の闇にオーロラ乱舞する | 晴 |
8月14日(火) | 12204 | 歓喜雀躍CG完成 | 桂 |
8月14日(火) | 12205 | ひらめきも技もありげな長い指 | 麦 |
8月14日(火) | 12206 | ちぼで暮らしをたてるみなしご | たつみ |
8月15日(水) | 12207 | 焼け跡の生が渦巻くガード下 | 柳雪 |
8月15日(水) | 12208 | 高度成長種を見つけた | 未悠 |
8月15日(水) | 12209 | ひた走り周り気遣う余裕無く | 芳梅 |
8月15日(水) | 12210 | ツクツクホーシふっと鳴き止む | ミャーママ |
8月15日(水) | 12211 | お庫裏さんもともに入れる墓が出来 | 麦 |
8月15日(水) | 12212 | 喜びも具にして五目寿司 | 桂 |
8月15日(水) | 12213 | 敗戦ですべて解放政治犯 | 道草 |
8月15日(水) | 12214 | 本家の兄が死んだシベリア | たつみ |
8月15日(水) | 12215 | 無念さに百万本のバラの花 | わび太 |
8月15日(水) | 12216 | 青すぎる空赫と日輪 | 藍 |
8月15日(水) | 12217 | 初めての絵の具手にした写生会 | 桂 |
8月15日(水) | 12218 | 動物園のカバは口開く | 蕗 |
8月15日(水) | 12219 | 痛くても言えぬ歯医者の治療中 | たつみ |
8月15日(水) | 12220 | ケーキ3つにつのる後悔 | 柳雪 |
8月16日(木) | 12221 | ウーロン茶痩美茶柳茶楊貴妃茶 | 道草 |
8月16日(木) | 12222 | 福建省の市の賑わい | 麦 |
8月16日(木) | 12223 | 山門で別の自分とすれ違う | 小町 |
8月16日(木) | 12224 | 女の性と他人(ひと)は言うけど | タマ助 |
8月16日(木) | 12225 | 煎餅に渋い番茶に長しゃべり | つう |
8月16日(木) | 12226 | こたつの猫の尾が二つ股 | 藍 |
8月16日(木) | 12227 | 江戸かるた「亭主の好きな赤烏帽子」 | 桂 |
8月16日(木) | 12228 | 惚れたが因果割れ鍋に蓋 | 晴 |
(12229 | リサイクルショップへふらり風受けて | 柳雪) |